1 「動物形土製品」はこうして見つかった
千歳市教育委員会 埋蔵文化財センター
今から32年前の秋、苫小牧と千歳の市境に流れる美沢川流域では、新千歳空港建設に伴う初めての大規模な発掘調査が終盤を迎えていました。この年は、美々4遺跡を中心に約2千年から2千五百年前の縄文時代のお墓がたくさん見つかり、人骨のほかに、ネックレスに使った石の玉や赤い漆塗りのクシ、土器などがたくさん出土しました。
美々4遺跡では、お墓が積み重なってできた盛土の調査が終わり、その下の土から土器の破片が少しまとまって発見されました。調査員は突起のような塊もあり、普通の土器とは違うものだと直感しましたが、調査が終了する直前の時でもあり、出土した位置などを記録すると直ちに収納しました。
その冬、図面の整理や土器の復元・実測などの作業が行われ、盛土の下の土器も復元することになりました。破片を詳しく観察し、ブラシで土を慎重に落としながら、立体パズルのように破片の接合を確認したところ、土偶のような土製品であることがわかりました。破片の文様や色などを手掛かりに、周辺で出土した遺物の中から同じ土製品の破片を探し出します。単調で根気が必要ですが復元の完成度を左右する大切な作業です。足りない部分があれば、さらに範囲を広げ破片を探すことを繰り返しました。
その結果、突起のような塊は頭となり、全長約32p、四肢?を持つ特異な造形の土製品が復元できました。その特異な姿とともに、中空作りの焼成技術の高さ、表面の優雅な文様の美しさはほかに類がなく、発見から3年後の1979年6月、国の重要文化財に指定されました。
実測図(出展:『美沢川流域の遺跡群T』1977年:北海道教育委員会刊)
破片状態の動物形土製品(一部接合済み)
復元された動物形土製品
(写真:千歳市教育委員会埋蔵文化財センター所蔵)
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