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昔の千歳・今の千歳
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4 噴火は大きな古時計
千歳市教育委員会 埋蔵文化財センター

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火山灰の量と場所  千歳周辺には火山がいくつかあります。以前は火山を活火山、休火山、死火山に分けていましたが、今では「1万年より新しい時期に噴火した山」を「活火山」とするだけになりました。恵庭岳、樽前山も活火山になります。恵庭岳は2万年前の大噴火の後、5百年ほど前から活発に活動しています。

 支笏火山は4万年前の大噴火でした。恵庭岳をはじめとする3つの火山がこの後にできた支笏カルデラに続くものとすると、支笏火山が今も活動しているということもできます。支笏火山が吹き出した膨大な火山灰は遠く斜里、えりも、利尻島にまで降っています。また、9千年前から何度か噴火した樽前山の火山灰も道央や道東にまで届いています。

 広い範囲に降った火山灰の噴火の時期がわかる場合、この火山灰は便利な「時計」になります。美々貝塚を訪れた人は、厚い貝層の上と下に火山灰があるのをご覧になったでしょう。上にあるのが2千5百年前、下が9千年前の樽前山の火山灰です。すると貝層はその間の時代に残されたことになります。このように降った時期がわかる火山灰は、その上や下にあるもの、間にあるものの年代を決めることができるのです。大むかしの時をはかる便利な道具です。

堆積した火山灰 千歳の東、厚真町ではここ数年発掘調査がさかんに進められてきました。1667年の樽前山の噴火によって吹き出した火山灰は、ここにも降り積もっています。ニタップナイという遺跡では、この火山灰のすぐ下からアイヌの家や儀式に使われたシカの骨が見つかっていますが、これらは噴火直前のものということを示しています。
 支笏火山や樽前山の大噴火は広い範囲に恐ろしい災害をもたらしました。このとき千歳周辺は動物も植物もない死の世界となったでしょう。でも私たちにとって、その火山灰は大むかしの時を知らせるとても便利な時計になるのです。